パクス・ロマーナ

課題曲特集(id:beer_barrel:20050706:p1)の1曲目は「パクス・ロマーナ」、この曲は、第15回の朝日作曲賞に選ばれた曲です。作曲者の松尾さんですが、アマチュア作曲家とはいうものの、「そよ風のマーチ」や「マーチ『ハロー! サンシャイン』」など多くの吹奏楽作品を作曲しており、吹奏楽界ではその名を知らぬ人間は居ないほど、有名な方です。
課題曲1「パクス・ロマーナ(松尾善雄作曲)」を聴いていると、どうしてもレスピーギの「ローマの松」のイメージが頭に浮かんでしまいます。勇壮な部分は「アッピア街道の松」を、物憂げな部分は「カタコンベ付近の松」を、それぞれ想起してしまいます。だけど、何となく和風な印象も同時に感じてしまう不思議な曲・・・ 何となく大河ドラマや西洋の歴史映画を連想してしまうこの曲想、私は結構こんな雰囲気の曲が好きだったりします。
「すいそうがく」に掲載されていた松尾さんのライナーズノートによると、この曲は以前朝日作曲賞に応募して落選した「未来都市」という曲のリベンジとして作曲されたそうです。古代都市と言っても、世界中に数多くの古代都市が存在していた訳ですが、その中でも松尾さんが以前から史劇映画で馴染みのあった古代ローマを題材に作曲したとのことです。
ちなみに上記のライナーズノートによると、この曲は「クレオパトラ(音楽:A.ノース)」「ローマ帝国の滅亡(音楽:D.ティオムキン)」「アントニークレオパトラ(音楽:P.J.スコット)」などの映画音楽に影響を受けると同時に、松尾さんが敬愛してやまないというミクロス・ローザの映画音楽(「ジュリアス・シーザー」「クォ・ヴァディス」「ベン・ハー」「キング・オブ・キングス」など)へのオマージュとして作曲したとのことです。
中でも特に「ベン・ハー」は「パクス・ロマーナ」との音楽的な共通点が指摘されているそうです。

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上記のライナーズノートの中でも触れられていますが、同じく風の会の会員である阿部勇一氏も「パックスロマーナ」という同名の曲を作曲されています。
古代ローマ時代を考証してこの曲を演奏するのであれば、塩野七生さんが執筆した「ローマ人の物語」を読んでみると面白いかもしれません。