さようなら、交通博物館

中央線・旧万世橋駅跡地にそびえ立つ「交通博物館」。鉄道ファンの間では聖地として親しまれてきた交通博物館ですが、交通博物館が東京駅に開設されて85年、東京駅から現在の万世橋に移転して70年、そろそろ施設も老朽化してきたとのことで、本日をもって閉館されることになりました。なお現在の展示品等は、2007年にさいたま市大宮区に開設される鉄道博物館で展示されるそうです。
最終日には徹夜組を含めて開館前に約千人が行列をつくるなど、この日だけで1万4千人もの鉄道ファンが交通博物館に押しかけたそうです。私も本来であれば東京まで駆けつけ、交通博物館の最期を見届けるべきところですが、あいにく所要のため訪問できませんでした。
http://www.sponichi.co.jp/society/news/2006/05/15/01.html
最期に周囲に居た人間が集まって鉄道唱歌斉唱ですか・・・

幻の旧万世橋駅

万世橋駅を知らない一般人のためにご説明。万世橋駅は、中央線の神田と御茶ノ水の間にあった駅で、地図でいえば↓のあたりにありました。
http://www.mapion.co.jp/c/f?uc=1&grp=all&nl=35/41/38.270&el=139/46/26.090&scl=25000&bid=Mlink
秋葉原駅から徒歩3分の場所に位置し、古くは電子機器ヲタの聖地、最近ではPCヲタやアニヲタ、その他ありとあらゆるヲタの聖地とされている秋葉原の電器街からも程近く、他業種との兼業ヲタには便利この上ない場所だったそうです。(なお交通博物館電器屋街とは神田川で隔てられており、交通博物館電器屋街とを結んでいる橋の名が万世橋)
 
この万世橋駅中央本線御茶ノ水駅から万世橋駅まで延伸された1912年から、万世橋駅から東京駅まで延伸された1919年までの約7年間、中央本線ターミナル駅として賑わっていたそうです。が、中央本線の東京延伸にともない、利用者は激減してしまったとのこと。
また、中央本線ターミナル駅ということもあり、開業当初は煉瓦造りの立派な駅舎が建てられていたそうですが、この駅舎も1923年の関東大震災で焼け落ち、万世橋駅が廃止される日まで仮駅舎で営業されることとなりました。
ちなみに焼け落ちる前の旧万世橋駅はこれ
http://arena.nikkeibp.co.jp/col/20060420/116387/14v.jpg
なんかどこかで見た駅みたい、というか東京駅・・・ それもそのはず、この旧万世橋駅辰野金吾氏が設計を担当。匠の技が光ってますね!
 
利用者を大幅に減らしたものの、何とか命脈を保っていた万世橋駅ですが、1943年、戦時中の不要不急駅ということで廃止され、戦後もついに復活することはありませんでした。
巨大ターミナル駅として作られたものの、利用者の激減によってそのスペースを持て余していた万世橋駅。その無駄なスペースを有効活用するべくして開設されたのが交通博物館です。最初は万世橋駅の構内に設けられていた交通博物館ですが、万世橋駅廃止後もこの場所に残され、引き続き公開されることとなりました。
ちなみに、現在でも中央快速線御茶ノ水〜神田間に残っている、線路が盛り上がっている部分が万世橋駅の跡地です。
 
さて、鉄道ファンの間では幻の駅とされてきた旧万世橋駅ですが、交通博物館の廃止を記念してその遺構が一般公開されたそうです。実際に旧万世橋駅を訪れた人が書いているページによると、「戦前の鉄道省時代の駅の雰囲気が、そのまま時が凍りついたかのように現在まで残ってている」とのこと。交通博物館閉館にともない、旧万世橋駅の遺構も取り壊されるそうですが、貴重な近代化遺産として是非とも保存してほしいものです。

廃止といえば

廃止といえば、通称「葬式鉄」と呼ばれる廃止ヲタ。この交通博物館もご他聞に漏れず多くの葬式鉄が訪問したそうです。「『乗って残そう○○線』との言葉どおり、普段からそれだけ人が来ていれば廃止にはならないのに・・・」という素朴な疑問はご法度です。
「ありがとう白鳥」や、「ありがとう寝台特急出雲」や、「ありがとうクモハ42」や、「ありがとう楓駅」や、「ありがとう可部線」や、「ありがとう碓氷峠」や、「ありがとう銀河線」や、「ありがとう日本国有鉄道」のように、廃止時によく耳にする「ありがとう○○」という言葉ですが、普段その路線や施設を使っていないような奴等がいったい誰に対して何を感謝しているのかと。。。
廃止直前になると急に殺伐とした雰囲気になるので、廃止になりそうな路線や施設は前もって訪問しておくことをオススメします。私が訪れた場所でも何ヶ所か廃止になりましたが、廃止数年前に訪れた場所はどこもマッタリして良い感じでした。こういった場所も廃止直前に訪れれば、廃止直前に行った碓氷峠のように凄いことになっているんだろうなぁ。。。 あの水軒駅が超満員になっただなんて、今でも信じられません。