クラリネットの細かい動きは大切だけど

昨日は彼と半日近く話し込んでしまいましたが、その話の中で一番印象に残った話題が「クラリネット吹きの多くは、ただ『指が早くまわれば良い』など技術的な面ばかりに目が行ってしまい、それ以外の面への気配りが疎かになりがち」という話題でした。彼からこの話を聞いた時、私も彼の言っていることに思わず頷いてしまいました。

クラリネットは機動力を求められる楽器であることは確かですし、事実クラリネットの楽譜は連譜や細かい動きの嵐だったりします。また、指が早くまわることは非常に良いことですし、楽譜どおりにカッチリと吹くことは非常に大切なことです。特にコンクールなどではこれが出来ていないと話になりません。
しかし、その「楽譜どおりに吹かなければいけない」といった点だけに目が行ってしまうのも非常にどうかなぁ、と思ってしまった今日この頃です。あまりにも割り振られた楽譜が難しいためか、「楽譜どおりに吹けたら一安心」という雰囲気がクラリネットの世界には蔓延しているのでは、という気が私もします。

「またクラリネットはこの動きか」と思ってしまう楽譜をよく見受けますが、アレって要するに音が流れている雰囲気や、音が渦巻いている雰囲気などを出したいために、クラリネットにああいった動きをさせているんですね。
こういった目的で書かれた楽譜を吹く場合、まずは「入り、各拍の頭、連譜の山や谷、終わり、次の音の頭」をカッチリと決めれば良いのです。後は周囲の状況に合わせて徐々に合わせていけば良いのです。

クラリネット吹きとして、楽器を演奏する人間として、「楽譜どおりカッチリと吹かなくても良い」というのは非常に好ましくは無い発言だとは承知しておりますが、真っ黒な楽譜や細かい音符の嵐に耐え切れず、楽譜を見るたびにゲンナリとしてやる気を無くしてしまうくらいなら、このくらいの軽い気持ちの持ちようで取り掛かったほうが良いかと思います。
そして、負担が減ったから楽になったと喜ぶのではなく、負担が減った分だけより深くその曲を研究し、自分のパートの細かい動きや指回しを追うだけではなく、もっと大きな視点からその曲を研究したいな、と思う今日この頃です。