山が動いた、第44回衆議院議員総選挙

公職選挙法によると選挙期間中はHPの更新が禁止らしいので自粛、というか忙しかっただけなんですが。。。
今日の日記は激しくディープなネタなので、政治に興味が無い方はスルーし、興味のある方だけ続きを読んでください。もちろん批判反論大歓迎。自由な議論と自由な意見の発露が日本の民主主義を進化させますので。

朝日新聞天声人語で「独」を印象付けようと朝から頑張る

選挙翌日の朝、朝日新聞の朝刊を読んでいると、天声人語にこんなコラムが

 圧勝するさまを見ていて、「独」という字が思い浮かびました。独特な党首の独断による独(ひと)り勝ちでした。今後、国政が小泉自民党の独壇場になって、独走や独善にまで陥ることはないのでしょうか。圧倒的な多数を与えた有権者でも、それは望んでいないはずです。
新聞の本文をコピペするのは面倒なので、http://www.asahi.com/paper/column20050912.htmlより引用

「独独独独独」って、要するに小泉首相=独裁者と連想させたいんだろうけど、、、 なにやら朝からやたらとハイテンションな必死さだけがひしひしと伝わってきました。
 
 

総選挙、自民党の圧勝で幕を閉じる

朝日新聞コラムのやたらとハイテンションな必死さで判るとおり、今回の総選挙は終わってみれば自民党の想定外の圧勝、というか民主党の自滅による惨敗という形で幕を閉じました。むかし流行った「山が動いた」という言葉は、まさしくこんな状態を指しているんでしょうね。「ここまで議席数に差が付くか!」という驚きと、「『野党だから反対します』という主張しかしない政党では、与党に大失策でも無い限りこういう選挙結果になるよな」というやっぱりという感想です。
(「自民・民主の二大政党体制だ」と声高に叫ばれ、ともに今回の選挙で存亡の危機に立たされていると語られる中、それなりにキッチリとしたメッセージを発していた「確かな野党」の共産党と「頑固に護憲」の社民党は、自民党圧勝という結果に終わった今回の総選挙でも現状勢力を維持できた訳ですし)
 
ここ最近の国会での動きや政党の主張を見ていると、自民党が新しい日本に生まれ変わるための改革を訴え、共産党社民党が戦後の日本に築き上げられてきた伝統的な価値観の維持存続を訴える中、民主党は最大勢力を誇る野党ながらその両者の谷間に完全に埋没してしまったように思えます。
今回の総選挙からは、民主党が政権を獲ったらまず何をしたいのか、民主党が政権を獲ったら日本という国をどういった国にしたいのか、民主党側からは「一度で良いから民主党に政権を任せて欲しい」という声が聞こえてくるだけで、具体的に何をやりたいのかがビビッドに伝わってきませんでした。
残念ながら現在の民主党からは「自民党がこういう政策だから、党内に色々と意見はあるのですがとりあえず党としては反対します。」といった印象しか感じ取れません。民主党内には本当にいろんな意見の人を抱えているから、こういう玉虫色の態度を取るのは党崩壊を防ぐためにも仕方が無いのかもしれませんが)
という訳で、十数年来の小沢一郎氏のファンということで基本的には民主党支持なのですが、今回はあまりにも民主党の現状がアレなので民主党に票を入れようという気が全く起きず、「改革」を訴える自由民主党と「確かな野党」を訴える日本共産党の二択で検討*1した結果、自民党の方が共産党より優れていると判断して自民党に投票しておきました。
 

国民は決して馬鹿じゃない、日本国民と日本国憲法を信じろ!

今回の選挙結果に対して、今回の選挙結果を好ましく思っていない人々による、「衆愚政治の骨頂」だの、「国民は洗脳されている」だの、「小泉独裁体制」だの、「憲法改悪へまっしぐら」だのといった意見を目にします。が、これらの意見って「俺たちはそこらへんの知識も無く、脳で物事を考えず、ただ声の大きい方に流されるだけの愚民どもとは違う。俺たちのように世の中の事を十二分に判っていて世の中の浮ついた空気に流されない知的で選ばれた人間こそが愚かな民衆を指導するべきなんだ」という選民思想に基づいた意見じゃないのか、と思ってしまいます。要するにそんなご高尚な意見を口にするお前らはいったい何様のつもりなんだと。
今回は自民党の姿勢が国民の多数の賛同を得たのでこういう結果になった訳ですが、次の選挙ではそのときに国民の多数の賛同を得た政党が政権を獲得することになります。それが民意であり、民主主義です。
 
民主主義の発露である、国民の自由な意志による選挙の意義とその結果を否定し始めると、憲法が保障する国民主権の原則が崩壊してしまいます。私は日本が「選挙の結果が気に喰わなかったから」といって軍部によるクーデターを起きたりする国や、常に進歩的かつ革命的な選挙結果が得られる旧共産圏のような選挙制度の国*2や、信頼に値する人間だけが投票を許可された制限投票の国*3にはなって欲しくありません。
国民は決して馬鹿ではありません。国民に対して「国民は馬鹿だ」と平気で言うような人間は、私は信用できません。五十余年日本国民が大切に守り育ててきた日本国憲法と、その根本理念である国民主権と民主主義体制を信じましょう。
 

自民党は変わった、民主党も変わらなきゃ

今回の選挙の最大の論点であった郵政問題ですが、今回の民主党に求められていた姿勢は「政府案が良くないから、とにかく叩き潰す」という対応ではなく、政府案に対するより優れた党としての対案を提出することだったと思います。対案の内容は「郵政国営維持」でも良いですし「政府案とは違うプロセスによる民営化」でも良いのですが、党としての対案を作成し、この対案を軸に与党とガチンコで対決するべきだったと思います。
が、民主党自民党が投げつけた郵政問題を回避してしまいました。
 
郵政民営化断固賛成派から断固反対派まで幅広く抱える民主党、党としては郵政に関する議論を深めることによって党内に亀裂が走ることを恐れたため、あえてこの問題に関する徹底的な議論を回避したのでしょうが、自民党をぶっ壊してまで党内の意見を集約した自民党に比べ、民主党の対応はあまりにも玉虫色で事なかれ主義の対処法に見えてしまいました。
上の方でも書いたとおり、民主党内には本当にいろんな意見の人を抱えているから、こういう玉虫色で事なかれ主義な態度を取るのは仕方が無いのかもしれませんが、そんな民主党を外から見ていると一体何を目指している政党なのか、さっぱり判りません。
ある程度政策に幅を持った人が集まった党の方が政策に多様性が生まれるため、一概に政策の「純化」が良いとは言えませんが、さらなる支持を得るためには、外から何を目指しているのかが判りやすい政党への脱皮が必要だと思います。
 

今の日本の政治に一番欠けているモノ

今回は小選挙区制度の恐ろしさを身をもって味わった民主党ですが、逆を言えば民主党への強力な追い風が吹けば一瞬にして逆の立場に立てる訳です。特定政党ばかりが常に政権を独占する状態では得てして政治腐敗が進むため、健全な状態であるとは言えません。かといって55年体制下の社会党のような「反対だけ政党」には政権を委任したくありません。
自らの政策案を出せず、現政権の批判しかできないような政党には政権政党の資格はありません。いろいろ欠けている点が多いと言われる日本の政治ですが、今の日本の政治に一番欠けているモノは安心して日本の将来を任せられる自民党以外の政権担当可能政党かもしれませんね。

*1:社民党北朝鮮による拉致問題以来信頼できませんし、その他の党は単なる選挙互助会っぽいのでそもそも検討対象外

*2:反革命的な思想を持った国民の政治関与を避けるため、政府が全ての候補者を決定し、その名簿を公開。信任の人はそのまま投票し、不信任の人だけボックスに入って不信任の人にチェック。よってボックスに入るヤツが反体制派だとすぐわかるシステム。もちろん反体制派は何かと理由を付けてシベリアや強制収容所送り。よって「投票率100%で得票率100%で当選」などという非常にキモい選挙結果に。まさしく進歩的かつ革命的な選挙システムだ(w

*3:直接国税を○円以上収めないと投票できませんとか、一定以上の身分階級でないと投票できません、など