「音もハートもブラスが熱い」朝日新聞に吹奏楽特集が掲載される

朝日新聞の2005年9月14日の朝刊13面に、「音もハートもブラスが熱い〜学校発、独自文化に〜」と題し、吹奏楽に関する特集が掲載されていました。吹奏楽コンクールの主催者であり、吹奏楽連盟の実質的な運営母体である朝日新聞社ですが、残念ながら吹奏楽に関する記事はコンクールの結果や全国大会直前の特集記事を除いてほとんど掲載されない中、なかなか興味深い特集記事でした。
 
この特集の中で、佐渡裕氏の指揮やCD「ブラスの祭典」で話題となったシエナウィンドオーケストラ、毎年一万団体以上が参加する朝日新聞社主催の吹奏楽コンクール、ギャラクシー賞テレビ大賞部門を受賞した日本テレビが放送する「笑ってコラえて! 吹奏楽の旅」、神奈川県立野庭高校のOBたちが同校元顧問の故中沢忠雄氏を顕彰して編纂したCD「音楽は心」などが取り上げられていました。
また、吹奏楽を知らない人向けに

吹奏楽は幕末の開国と同時に、軍楽隊として日本に入ってきた。はじめは行進や式典用だったが、コンクール制度などによって演奏会場で演奏する機会が増え、(中略)大編成に成長した。
主に金管楽器木管楽器、打楽器。一般に、管楽器は弦楽器より短期間で習得できるといった理由で、学校教育に向くといわれる。曲目は、マーチなど吹奏楽曲、ポップスやジャズなど多様で、学校ではアニメ主題歌も人気だ。
上記朝日新聞特集記事より

と、吹奏楽の簡単な概要がまとめられていました。

遂に朝日新聞紙上にもオケ編曲問題が登場!

興味深く記事を読み進めていると、、、

だがオーケストラ曲を演奏しようとすると、とたんに不自由さを味わう。シューベルトの「未完成交響曲」など多くの曲は、吹奏楽では管楽器で奏でやすいように、しばしば調を変えられてしまう。さらに、弦楽器では難しくない箇所が管楽器では超絶技巧に変身したり、息継ぎの都合で旋律の切れ目が変わったりする
上記朝日新聞特集記事より

桶編曲問題キター!
まさか朝っぱらからこんな場所でオケ編曲問題を目にするとは思いませんでした(w 先日の日記(id:beer_barrel:20050913:p1)に書いた、朝っぱらから小泉首相を独裁者と印象付けようとやたらハイテンションで必死に頑張っていた天声人語といい、今週の朝日新聞はなかなかクオリティが高いようです。
もっとも先日の激しく反発を覚えた天声人語とは違って、今日の特集記事には激しく同意な訳ですが。吹奏楽で演奏するオケ編曲、残念ながら吹奏楽をやっている私の目から見てもオーケストラでの演奏に比べて激しく見劣りするのは事実です。
 
これを受け、NHK交響楽団首席オーボエ奏者の茂木大輔氏が次のようなコメントを

吹奏楽によって音楽への入り口が開けるのはいいこと。でも、オーケストラのための名曲を、作曲者が書いた音そのままに演奏することも、特別な喜びがある。敬遠しないで、もっとオーケストラに取り組む人が増えるといいなと思うのです
上記朝日新聞特集記事より

確かにそうなのですが、吹奏楽でのクラリネットの役割とオーケストラでのクラリネットの役割は激しく違うため、「もっとオーケストラに取り組む人が増えるといいな」と、吹奏楽クラリネット吹きである私に問いかけられても非常に困ってしまう訳ですが。

雑食性、それが吹奏楽の長所でもあり短所でもある

正直言って吹奏楽でオケ編曲作品を演奏すると、「ハァ?」と思ってしまうことや「こんなの絶対におかしい!」と思ってしまうことが多々あります。某巨大掲示板でもループに近い勢いで語られているとおり、吹奏楽は芸術性の追求という意味では劣った演奏形態かもしれませんが、私のように趣味として音楽をやっている人間にとっては、どんなジャンルの音楽でも雑食動物のように扱える吹奏楽は良い環境だと思います。<「○○っぽく演奏する」吹奏楽に物足りなくなり、専門的にそのジャンルの音楽を追求したくなれば、別のジャンルに移行すれば良い訳だし
クラリネットを吹いていると「やっぱりオケの方が良いのかなぁ」と時々思うこともあるのですが、私はオーケストラからの編曲作品を演奏するよりもポップス曲を演奏する方が好きな人なので、やっぱり「何でも雑食的に対応できる吹奏楽」の方が向いていると思います。という訳で、これからも吹奏楽界で頑張るぞ!