2006年度課題曲の感想

さっそく音源を聞き込んでみました。来年の課題曲を聞いた印象を書く前に一言だけ。来年の参考演奏ですが、できれば去年一昨年のバンドの方が良いんですけど。それはさておき、あくまでも音源を聴いてクラリネットパート譜を見ただけでスコアを見ていない状態の素人クラリネット吹きの私見ですので、「そんなもんなんだ」程度に流して読んでくださいね。

1.架空の伝説のための前奏曲

いかにもな曲名と、いかにもな曲の作りな割には、なかなか良く練りこまれた作品であり、色彩感も豊かで聴いていて楽しそうな曲。さすがは吹奏楽・合唱の両朝日作曲賞をダブル受賞した作曲者! 一度演奏してみたい曲だけど、細かく作りこむべき箇所やアラが目立ちやすい部分が多くて課題曲としてはあまり選択したくないタイプ。なんとなく「和風RPGサンダーバード」っていう印象。Tpが大変そう。金管が充実しているバンドにおすすめ? 

2.吹奏楽のための一章

なんか聴いてても演奏していても楽しそうな曲。でも「合奏力をチェックするための課題曲として作曲された曲です」という雰囲気で、曲中に落とし穴が満載されている曲。逆に落とし穴に落ちないように注意して演奏すればそれなりの評価を得られそう。この曲を無難に仕上げるのが上位大会への道か? 以前にも同じような毛色の課題曲があったような気が。木管の色彩感を出すのが大変そう。木管が充実しているバンドにおすすめ?

3.パルセイション

課題曲審査員・合唱作曲家として知られる木下牧子氏の作品。初めて聞いた印象は、なんか難しくてとっつきづらい印象、終わり方も唐突だし。曲の濃度や完成度という点はさすが! 楽しさや派手さはあまり感じませんが、合奏をしていくうちに好きになりそうな曲。じっくりと取り組んで細部まで詰めてみたい。微妙に「パルスモーション」入ってます? 各楽器それぞれの能力が満遍なく求められており、バンド全体の実力を見るには最適そうな一曲。

4.海へ…吹奏楽の為に

この5曲の中でもっとも親しみやすい、かつ簡単そうに聞こえる曲なので、来年の中高生の部の課題曲はこの曲に集中しそうな雰囲気。作風や曲の構成がアメリカのスクールバンド向け作曲家風。題名どおりいかにも「海」という感じ、つーか「海の歌(ミッチェル)」ですか? 全体を聴き終えてみると真島氏っぽい雰囲気。根を詰めて練習すれば、クラリネットの楽譜が焼きソバ作業なので大変そう。軽く流して練習してから本番で演奏する分には良いが、ひと夏をかける曲には選びたくないタイプ?

5.風の密度

なんか譜面の書き方が面倒くさい、というか現代曲入っていてそもそも読む気すらしない。何故あえて2/4ではなく4/8の楽譜にしたんだろう? 譜面を2/4に書き直せば案外普通の曲だったりして。ちなみにこの曲が一番短いため、自由曲の時間を十分に取りたいバンドはこの曲を選択するかも。自由曲の時間を充分に取りたいバンドはこの曲を頑張ってね。
 
易化の一途を辿っていたここ近年の課題曲とは違い、やりがいのありそうな曲、かつそれほど超絶技巧は求められていない曲が揃っていそうな来年の課題曲。「楽器をはじめて2〜3年」という応募要項の条件には疑問が残るものの、傾向的には嬉しい限り。