奏者の果たすべき役割

こんど賛助で出演する予定の楽団の練習状況をうちの奥さんから聞きました。が、どうも上手く噛み合っていないようです。
自分の楽器がバンドの中でどういった役割を果たすことが求められているか、いったいどれだけの人が十分に理解しているのでしょうか? 自分の楽器がどういった特徴を持っており、どういった立場を取って、どういった役割を果たすことが求められているのかを理解しているのでしょうか? そして自分が楽器を吹くことに対する責任の重さを自覚しているのでしょうか? 余計なお世話ですが、ちょっと気になってしまいました。
 
[id:beer_barrel:20050624]でも書きましたが、音楽では各人が各人に与えられた範囲内で役割を果たすことが求められています。みんなが自己主張を始めたら収拾がつかない事態に陥ってしまいます。学芸会のように「みんなが主役」というのも非常に結構ですが、シンデレラを上演する時に舞台上に現れる役者がみんなシンデレラという状態では、まともな劇は成り立ちません。
素晴らしいシンデレラを上演するためには、シンデレラ役も、魔女役も、カボチャの馬車役も、継母役も、意地悪な姉たち役も、王子様役も、舞踏会の出席者役も、シンデレラを探す王子の家来たち役も、シンデレラと王子の結婚を祝福する民衆役も、みんながそれぞれ求められた役割を求められている範囲内で果たさなければなりません。
シンデレラ役には主役としてのシンデレラを演じきれないような役者は向いてません。意地悪な姉たち役にはさも意地悪そうにシンデレラをいじめられない役者は向いてません。舞踏会の出席者役には目立たずに自然にワルツを踊れないような役者は向いてません。カボチャの馬車役や舞踏会の出席者役は目立ちませんし、劇を見に来た観客たちの印象にも残りませんが、こういった端役の人間が与えられた役を演じきらずに手を抜いてしまうと、途端に劇は陳腐なものと化してしまいます。
役者は同じ劇の中でも場面よって求め荒れる役割は変化します。たとえ同じ楽器を演奏するにしても、曲中の場面によって、そしてその時のバンドの状況によって、奏者に求められる役割はどんどん変化します。主役として目立って欲しい場面なのに隠れられては困りますし、脇役を務めて欲しい部分なのにさも主役のような顔をされても困ります。
 
吹奏楽はみんなで作り上げるものです。楽団で演奏する時は、決して独りよがりな立場には立たず、楽団がそれぞれに対して求めている役割を的確に判断し、その求めらている役割を忠実に実行しなければなりません。
私も楽団で演奏する時は、自分に求められている役割を的確に判断し、その求めらている役割を忠実に実行できるよう、心がけていきたいものです。