うさぎとトランペット 第五楽章:プロを目指すためにクラブを辞めてレッスンに通った子のその後

前作の「楽隊のうさぎ」の中で、プロを目指すために通っていたレッスンで「プロになりたかったらクラブを辞めろ」と言われてしまい、嫌々ながらクラブを辞めてしまった女の子ですが、今作の「うさぎとトランペット」では、楽器を演奏すること自体が嫌いになってしまい、結局は楽器を吹くこと自体を辞めてしまったと描かれています。前作を読んだときから、なんか薄々そういう結末に至ってしまいそうな雰囲気を感じていましたが、「やっぱりそうか」という感じです。
楽器も好きだしクラブも好きなのに、「クラブで楽器を吹くな」なんて厳しすぎる指導かと思います。「ヘタクソの音を聞きながらヘタクソに混じって演奏していると、一緒に演奏しているこちらまでヘタクソになってしまう」という先生の理論もわかりますし、真剣にプロを目指したいのであれば「ヘタクソに混じって吹くな」という先生の言葉を素直に守るべきなのかもしれませんし、その言葉も守れないような人間はそもそも厳しいプロの世界には不向きなのもしれません。しかし、相手は楽器を始めたばかりの中学生なんだし、そこまで厳しく指導する必要があるのかと、私は思わず首を傾げてしまいました。
もっとも、単なる趣味として音楽を続けている人間が何を言ったところで、音楽でメシを食っているプロの方に、「そこがお前らド素人とプロの違いだ」とか、「たとえ中学生であれ、プロを目指す以上はそれくらい厳しい自戒が必要だ」とか言われてしまえばそれまでな訳ですが。
 
プロになるのを諦めるのは向き不向きもあるし別にどちらでも良いのですが、大好きだった楽器を演奏するという行為自体までもが嫌いになってしまうのは非常に残念なことです。
いくら大好きなことであったとしても、その好きなことを仕事にするためには、別に好きではないことを仕事にする以上に大変な苦労が必要ですし、危険性も存在しているようです。大好きなことをすることと、その大好きなことを仕事にすることについて、いろいろと考えさせられました。
 
 
そういう意味では、特に深く悩んだり考えたりすることなく、仕事ではコンピュータシステムの設計や管理を行い、趣味でもパソコンをさわっている私は、ある意味では幸せ者かもしれませんね。もっとも、あまり家でまでシステム設計や機材のメンテナンスを行ないたいとは思いませんが(苦笑)