うさぎとトランペット 第四楽章:パート決めの問題

暫らくいろいろあって飛んでしまいましたが、「うさぎとトランペット」で感じた雑感の続きを。
 
前作の「楽隊のうさぎ」の中で、中学校の吹奏楽部で部長を務めており、コンクールで交響的譚詩のクラソロを吹いた男の子ですが、今作の「うさぎとトランペット」ではトランペットを吹いている姿が描かれています。いくら小説の中の世界の話だとはいえ、全国大会に出れそうなレベルのバンドでクラリネットのトップを吹いており、しかもあのクラリネットのソロが強烈に難しい『交響的譚詩』のソロをコンクールで堂々と吹けるような人間が、「クラリネットではなく、本当はトランペットがやりたかった」と言って他パートに移籍してしまう話は、衝撃を感じましたし、残念でもあります。
 
楽器間のバランスを調整する必要があるため、全ての人の希望には応えられないパート決めですが、私の場合は途中入部だったため、入部時に選択できる楽器はホルンかクラリネットしかなく、その上同時に入部した奴がやたら体格が良くてホルンに回されたため、自動的にクラリネットが割り当てられました。
特に希望楽器も無く、友人に拉致されて吹奏楽部に入部してしまったため、当時のパート決めについての印象は「あの時ホルンになっていたら、その後どうなっていたんだろう?」と思う程度です。あの時クラリネットではなくてホルンを割り当てられてしまったパラレル世界の『たるる』ですが、今頃は「たるる@角笛吹き日記」といったBlogを作って同じような活動をしているのでしょうが(汗)
 
さて、パート決めで人気が無いパートといえば、低音楽器。その中でも最も人気が無いパートはチューバと断言しても良いでしょう。チューバの楽譜には、まずメロディーなんて美味しそうなものはほとんど存在しません。楽器は大きくて重たいし、持ち運びが大変です。自分から「チューバをやりたい」と言い出す人はほとんど居ませんので、チューバ吹きの多くは特に希望楽器も無く入ったか、希望楽器から外れえて回されたかのいずれかです。
そんな人気薄のチューバですが、低音楽器が存在せず、高音楽器ばかりが煩い演奏なんて、はっきり言って聴けたもんじゃありません。低音楽器がハーモニーのベースで支えてくれるからこそ、その上の楽器は安心してそのベースの上で演奏できますし、お客さんも安心して演奏を聴くことが出来ます。
自分から目立って活躍することはあまりありませんが、バンドには欠かせない存在、まさしく「縁の下の力持ち」の役割なのです。始めは嫌々ながらチューバを吹かされていたチューバ吹きたちも、だんだんとチューバの魅力に取り付かれてしまった人が多いようです。
 
私の場合ですが、特に希望楽器が無かったため、何も感じることなくクラリネットの担当になり、今でもそのままクラリネットを吹いています。しかし、世間にはパートのの問題で苦労をされた方も多いみたいです。入部時に希望した楽器に配属されなかったり、諸事情によって無理やり他のパートに移籍させられた人を今までに沢山見てきました。パートの人数を揃えてバンドのバランスを揃えることの大切さはみんな解っているのですが、いざ自分がそういった場面に立たされると、色々と難しいみたいです。