音楽にも譲り合いの精神を持とう

吹奏楽におけるクラリネットですが、一般的に複数人数で同じパートを担当しているため、自分の横に座っている人も常に自分と同じフレーズを吹いています。そのため、自分の隣の人の吹き方を常に注意して演奏するように心掛けなければなりません。自分と同じフレーズを吹いている自分の隣の人とあまりにも違った吹き方をしてしまうと、同じフレーズを吹いているはずなのに音が分離して聞こえてしまいます。
隣の人と一緒に音楽を作り上げていくことは、目標もすぐ近くに見えるし、非常に楽しいことです。でも、「常に隣の人と合わせましょう」では、欲求不満も出てきますよね。だからと言って隣の人と合わせず、自分勝手な吹き方をされては、隣の人はたまったものではありません。
 

音楽は自己表現の場、だけど・・・

音楽とは自分の主張を音楽を通じて表現する場なので、自分のやりたい音楽や吹きたい音楽を演奏することは、非常に素晴らしいことです。
しかし複数人で一緒に音楽をする場合、みんなが勝手に音楽的な自己主張を始めると、お互いの音楽的な主張が舞台の上で潰し合いになってしまい、全体としていったい何を表現したいのか、いったい何を聴衆に伝えたいのか、まったく解らない演奏になってしまいます。特に吹奏楽のような大人数で演奏する音楽形態の場合、常に一つの理想形を意識し続けないと、すぐに空中分解を起こして演奏はバラバラになってしまいます。「何かを伝えようと思って音楽をやっているのに、みんなが何かを伝えようと音楽をした結果、結局は何も伝わらなかった」なんていう結末、虚しいと思いませんか?
そこで必要になってくるのが、いまこの音楽の中において自分がどんな立場に置かれており、どんな役割を果たすべきなのかを常に考えながら演奏するというスタイルです。一緒に吹いている人がこれらの事を理解して自分の役割に合った演奏をするからこそ、全体として訴えたい主張が見えてくるのです。
 
自分自身の音楽的主張を強く持ち、それを唱え続けることは大切なことですが、だからといって複数人で音楽をやるときにみんながみんな音楽的な自己主張を始められてしまうと、音楽は空中分解を起こしてしまい、決して一つのまとまった音楽なんて作れません。お互いの音をよく聴き、お互いがどんな音楽をしたいのかを良く考え、譲り合いの精神で一つの音楽を作り上げていきたいものです。