奈良に行ってきました その1

今日は遠くの方から遊びに来た、鉄分高めなお友達が「生駒ケーブルに乗ってみたい」と言っていたので、奈良に行ってきました。

近鉄奈良線

鶴橋駅の大阪方面行きホームから入った近鉄の改札前に集合」ということで待機していたのですが、集合時間になっても現れず。「まだですか?」と電話して聞いてみると、「いま、大阪方面行きのホームにある改札を入ってホームに降りたけど、居なかった」とのこと。「不思議なこともあるもんだ・・・」と思ってよく聞いてみると、実は天王寺行きのホームにある改札から入ってきたとのこと。ますます不思議・・・

天王寺の方から電車に乗ったけど、そういえば乗り過ごして戻ってきたんだ」

え゛、、、 そういう重要事項は早めに告知してほしいものです。
 
近鉄奈良線ですが、この路線は特に珍しくもない普通の通勤路線です。生駒山の下を新生駒トンネルで走り抜け、大阪と奈良を最短距離で結んでいるこの路線は、毎日多くの通勤客を奈良から大阪へと輸送しています。

なお現在、西大阪高速鉄道阪神西大阪延伸線の建設工事を行っており、この工事が完成すると、近鉄難波駅阪神西九条駅が結ばれ、近鉄奈良駅阪神三宮駅間の相互直通運転が開始されるそうです。ということで、うちの家の近所の駅でも近鉄難波行きの電車が見られるようになりそうです。

生駒ケーブル

そうこうしているうちに、生駒ケーブル乗換駅である近鉄生駒駅に到着。
この生駒ケーブル、実は近鉄生駒駅前にある鳥居前駅宝山寺駅を結ぶ宝山寺線と、宝山寺駅生駒山上駅を結ぶ山上線の2路線から構成されており、「スカイランドいこま」がある生駒山上に行くためには、宝山寺駅で乗り換えなければなりません。
 
この路線の歴史を紐解くと、大正7年8月29日、日本最初のケーブルカーとして宝山寺線(現・宝山寺1号線)が開業したそうです。その後、宝山寺への輸送需要が増大したため、大正14年宝山寺2号線が建設され、現在でも日本で唯一の、2つのケーブルカーが並ぶ複線区間となりました。
その後、昭和4年には生駒山上に遊園地が開業し、その遊園地への便を図るため、宝山寺駅から生駒山上駅を結ぶ山上線が開業し、現在の姿になったそうです。
 
日本で唯一の複線ケーブルカーである宝山寺線ですが、住宅地の中を走る路線のため、途中に何箇所か車も通れる踏切が設置されています。
また、途中にはケーブルカー同士のすれ違い区間があるため、路線の中間地点は複々線区間となっており、とてもケーブルカーとは思えぬ光景を目にすることができます。
さらに都合が良い?ことに、ちょうどこの複々線部分にも踏切が設置されており、ケーブルカーにもかかわらず、まるで東海道線の踏切のような壮観な光景を目にすることができます。

ケーブルカーの踏切ということで、当然踏切の中にはケーブルカーを引っ張るロープが。ケーブルカーが動いているときに踏切を渡ると、踏切の中でケーブルカーのロープが動いています・・・ 慣れない人間にとっては、かなり危険な踏切です。
 
宝山寺線はマンションも林立する住宅地の中を走る路線のため、ケーブルカー路線にもかかわらず、多数の通勤・通学客が利用しているそうです。
そんな路線にもかかわらず、使用されている車両は、犬を模した「ブル」と、猫を模した「ミケ」というキャラクター車両・・・ こんな列車に乗って毎朝会社へ通勤とは、、、シュールな光景です。
日本ではケーブルカーが日常の足として使われている例は非常に珍しいですが、海外では坂の多い街で路面電車や地下鉄の代わりとして盛んに活用されています。サンフランシスコのケーブルカーは非常に有名で現在でも市民の足として愛用されていますが、かつてはニューヨークやパリ、リスボンなどでも走っていたそうです。
また、ナポリジェノバ、リヨン、ローザンヌイスタンブールなどでは、地下鉄タイプのケーブルカーが、今でも坂の多い街の市民の足として愛用されています。
 
さて、宝山寺1号線は新しい車両に置き換えられましたが、もう一方の宝山寺2号線は、50年ほど前に更新された ボロい アンティークな車両が現役で使用されているそうです。この宝山寺2号線、普段の日は動くことはありませんが、毎月1日の生駒聖天の日にはこちらの路線も使用され、臨時列車が運行されるそうです。ということは、こちらの路線は一年間で12日程度しか動いていないのか・・・
そんな宝山寺2号線の車両ですが、「ゆめいこま」というキャッチフレーズのもと、地元の小学生たちの手によって塗装がなされていました。と、よく見てみると、ジェットコースターの絵が。。。 ケーブルカーにジェットコースタの絵って、なんだか不謹慎な予感が。
 
乗換駅の宝山寺駅には、日本国内のケーブルカーの一覧表と、ケーブルカーの車輪が展示されていました。
しかし一覧表を見ていると、廃止されたケーブルカーの多いこと・・・ 「乗って残そうケーブルカー」という気持ちにさせられてしまいました。
さて、そんな廃止ケーブルカーの中に、あの屋島登山鉄道屋島ケーブルカーの名が!
琴電そごう倒産のあおりを受け、琴電が経営破綻、琴電系列の屋島登山鉄道も経営不振に陥り、2004年10月12日に自己破産を申請、同日、10月16日付でのケーブルカーの営業休止を発表しました。12日に休止(要するに廃止)を発表し、16日で廃止ということは、さよなら乗車が可能な期間は12日・13日・14日・15日のわずか4日間! しかも運行最終日である10月15日の早朝に発生したトラブルにより、その日は一日運休となり、そのまま休止、そしてそのまま廃止されてしまいました。。。 屋島ケーブルのネタはおいおい。
さらに廃止ケーブルカーのリストの中に、あの宗教法人鞍馬寺鞍馬山鋼索鉄道よりも短いケーブルカーが! このケーブルカーの営業距離はわずか200メートル。これより短いケーブルカーとは・・・ 記載の情報によると「和歌山観光」という事業者が運営していたケーブルカーだそうですが、1983年ごろに休止され、また旅館内の施設だったらしく、ネットを探してもほとんど詳しい解説が出てきません。ただ、営業距離は88mだったとのこと。短っ!

===このお話も、まだまだ続きます===