大阪府音楽団

大阪センチュリー交響楽団の廃止問題に揺れる昨今ですが、現在センチュリーが本拠地を置いている服部緑地には、かつて大阪府音楽団(通称:府音)という名の、大阪府直営のプロ吹奏楽団が本拠地を置いていました。



バブルで大阪府の税収が豊かだった時代、当時既に大阪府内には3つのプロオーケストラが存在したにもかかわらず、この大阪府音楽団を「発展的に解消」すると称し、大阪府主導の新しいプロオーケストラが作られることになりました。

また今後の新楽団の幅広い展開を考え、府音時代の大阪府による直営方式から、大阪府文化振興財団を通じた運営方式に改められました。

当時税収が豊かだった大阪府は、文化振興財団のために100億円を越える基金を拠出し、基金の利息収入だけでオーケストラが運営していけるという、破格の待遇での船出でした。



吹奏楽団をオーケストラに鞍替えするとの計画ですが、新しいオーケストラの管楽器団員には大阪府音楽団の団員をそのまま横滑りさせるのではなく、広く優秀な演奏家を募るため、府音の現団員も含めて改めてオーディションが開催されました。

このオーディションに合格したのは、当時の大阪府音楽団団員32人のうち、わずか3名。9割以上の団員がオーディションに落ちてしまいました。

府音の人たちは大阪府の職員なので、オーディションに通らなかった人たちは、府音が解散されると同時に、まるで普通の異動のように他の部署に配置転換されてしまったそうです。

これって、かなり酷い話ですよね。。。



そんな死屍累々の上に設立されたセンチュリー、順風満帆の中での船出に見えかけたのですが、その後のバブル崩壊にる
 ・株価低迷や利下げに等よる基金収益の途絶
 ・大阪府の財政悪化による支援の減少
 ・企業収益の悪化による寄付の減少
という三重苦に見舞われ、当初用意された基金を食い潰し続け、ついには基金が底をつきそうな状況に陥りました。



大阪府財政再建計画にともなうセンチュリーに対する補助打ち切り案に対し、「橋下知事は大阪の文化を破壊する気か!」との批判がなされていますが、府音廃止の一件を非常に言葉悪く書けば「府音を潰してセンチュリーを作るとは、大阪の吹奏楽文化破壊する気か!」と書くこともできます。

それに橋下氏は「センチュリーを廃止する」とは言っておらず、「センチュリーに対する補助を打ち切る」と言っているだけです。
一方、大阪府音楽団は府の意向によって廃止されてしまいました。