アルトホルン

むかし同じ楽団でホルンを吹いていた友人から、いきなり「出張で関西に来ているから昼メシに行こう」とお誘いの電話が。当日じゃなく、前もって連絡してくれればよかったのに・・・ という訳で友人と食事に行って来ました。
この知人、ホルン吹きを辞めて合唱を始めたとのことなので、「最近合唱の調子はどう?」と尋ねたところ、「合唱もやっているけど、ブリティッシュ・ブラス・バンドでアルトホルンも始めた」とのこと。 英国式金管バンドですか! だからホルンはホルンでもアルトホルンですか!
 
ちなみにアルトホルンってこんな楽器。
http://www.yamaha.co.jp/product/wind/brass/ah_bh/
ホルンとはいうものの、ユーフォニウムみたいな形をした楽器で、E♭管の楽器。現代日本吹奏楽では目にしませんが、小学校の金管バンドではよく見かける楽器です。かつては日本の吹奏楽でも使われいたようで、「アルト」とのみ書かれた楽譜や「ホルンinE♭」と書かれた楽譜にその痕跡を留めています。木管ではオーボエが、金管ではフレンチホルンが習得しにくい楽器の代名詞のように言われていますが、アルトホルンは他の金管楽器と習得の難易度の差がないそうです。
音色のパレットを増やすという観点から見れば、他の金管楽器と異質な音が鳴るフレンチホルンを活用するのが良いのでしょうが、トランペットとトロンボーンの中間の音域で指回しの早いピストン楽器が欲しいという観点や、「教育的配慮」の観点からすれば、吹奏楽でもアルトホルンを使うのが良いのかも、と思いました。
ちなみに日本ではアルトホルンと呼ばれているものの、ブリティッシュ・ブラス・バンドではテナーホルンと呼ぶのが正式だそうで、こだわりを持っている人に「アルトホルン」というと怒られるそうだ。(厳密にはバリトンユーフォニウムみたいに管の太さが違うらしい)
 
「なんでまた吹奏楽ではなくてブラス? なんでまたフレンチホルンではなくてアルトホルン?」と尋ねたところ、「吹奏楽はもうお腹いっぱい」と思っていたところ、たまたま縁があったブラスバンドに入ったとのこと。またブラスバンドではフレンチホルンは使わないので、音域が近いアルトホルンを吹いているとのこと。「マウスピースの形も違うし、調も近いから大変だよね(アルトホルンは、ホルンのように他の金管楽器とは異なった形のマウスピースではなく、トロンボーンとトランペットの中間サイズのマウスピースを使用)」と聞いたところ、「もう慣れて、逆にホルンが鳴らない。調は気になるけど」とのこと。
ちなみにinE♭の楽器のためか、元エスクラ吹きの人がそこのバンドでアルトホルンを吹いているそうだ。確かに調性は一緒だけど・・・
 
金管バンドといえば、超絶技巧。「ドラゴンの年」などのスパーク作品も金管だけでこなしてしまいますし、あのグレード7?の「ハリソンの夢」はもともと金管バンドのコンクールの課題曲!
「楽譜・・・難しくない?」と尋ねたところ、「あまり吹奏楽と変わらない」とのこと。どうやらあちらでも楽譜が大変なことになっているのは、指揮者からみて左手手前に座っておられる楽器の方々。どんな演奏スタイルでも指揮者からみて左手手前の楽器は大変だ。
 
「もう吹奏楽はしないの?」と尋ねたところ、「吹奏楽はもうお腹いっぱい」とのことで、当面は吹奏楽から離れるとのこと。「よ〜し、俺も吹奏楽はお腹いっぱいなので、音域もアルトだし、調性もinE♭だから、アルトホルンを始めようか」と三秒程度やる気になったものの、ど素人に来られるバンドの方にも迷惑だし、いまさら金管を始めるのは体力的にも唇的にもアレだし、あまり金管楽器を吹きたいとも思わないのでボツ。