ガリバー旅行記

次の演奏会ですが、ベルト・アッペルモント作曲による「ガリバー旅行記」を演奏します。この曲はスイフトが著した有名な小説「ガリバー旅行記」を題材にした曲で、主人公であるガリバーが訪れた4つの国々を描いています。ガリバーが訪れた国は、次のような国です。

小人の国「リリパット
一般的によく耳にする「ガリバー旅行記」は、この部分のお話です。海岸に打ち上げられたガリバーさんが小人たちに縄で縛られる部分から始まり、だんだんと小人さんたちと親しくなっていくお話です。
巨人の国「ブロブディングナグ」
小人の国とはあらゆる意味で正反対な、巨人の国での出来事を書いたお話です。リリパットとは正反対の立場になってしまったガリバーさんに注目です。
天飛ぶ島「ラピュータ」
有名な宮崎アニメ「天空の城ラピュタ」の元ともなったこの作品には、なんと実在の国である日本も登場します。
馬の国「フウイヌム」
馬が非常に知性を持っており、人間が本能のまま生きている野生生物であるという、不思議な馬の国フウイヌム。

しかしこの曲、何度聞いてもリクディムやプスタを連想してしまう・・・
 

政治的風刺文学として著された「ガリバー旅行記

ガリバー旅行記ですが、一般的に認識されているような子供向けの童話として書かれた訳ではなく、当時の大英帝国が行っていた諸政策を批判するために著された政治的な風刺小説です。

小人の国「リリパット
18世紀の大英帝国の社会風潮と政治体制を風刺した作品。ちなみにリリパット国はイギリスを、敵国であるブレフスキュ国はフランスを意味する。
巨人の国「ブロブディングナグ」
リリパットとは正反対の社会を描くことによって、リリパット(=大英帝国)の問題点を浮かび上がらせようとした作品。
天飛ぶ島「ラピュータ」
真に人々のために役に立つ学問ではなく、「学問のための学問」に勤しむラピュタの人々を通じ、王立協会およびニュートンを風刺した作品。
馬の国「フウイヌム」
人間(=ヤフー)の愚かさを高貴で知性のある馬(=フウイヌム)と対比すると同時に、そんな高貴で知性のある生物でも結局は見かけで物事を判断してしまう様子を描いた作品。

ガリヴァー旅行記についての詳細はこちらを参考にしてください⇒ガリヴァー旅行記 - Wikipedia
 

童話を題材とした音楽作品

ちなみにアッペルモントさん、2005年の新作として、グリム童話「髪長姫(ラプンツェル)」を題材にした新作「ラプンツェル」を作曲したとのこと。私はこの曲をまだ聞いたことはありませんが、是非とも一度聞いてみたいものです。
さて、童話を題材とした作品といえば、以前このBlogでも紹介した、アンデルセン童話を題材とした「絵のない絵本(樽屋雅徳作曲)」や「アンデルセン組曲(S.ヒュルゴー)」、マザー・グースを題材とした「マ・メール・ロワ(M.ラヴェル)」などが想起されてしまいます。「This old man」の印象が強烈に残る「第六の幸運をもたらす宿」もマザー・グース系かも?
演奏会で「童話縛り」の企画ステージをしてみるのも、けっこう面白いかもしれません。*1 日本人として、童話と聞いて忘れてならないのが「まんが日本昔ばなし」。このような演奏会を開催する折には、ファゴットの方には是非ともあの有名な一フレーズを吹いて頂きたいものです。

*1:たぶん以前書いた「鉄道縛り」よりも一般ウケすると思う